銀河鉄道 Another Journeys レドリルアドベンチャー

−前回のあらすじ−
 じゅげむじゅげむごこうの… 以下省略 


第015話 超過密住国 その1


車掌　　「えー，次の停車駅は惑星コンプレス，停車時間は5分です」
レドリル「5分!? たったの5分?」
車掌　　「はい，そうです」
レドリル「確か，停車時間はその星の1日って……」
車掌　　「ええ，この星は特別でして，なんと申しましょうか…，
　　　　　ちゃんと停車できないのですよ」
レドリル「ちゃんと停車できない…駅がないの?」
車掌　　「駅はあるのですが……あるというか，ないというか……」
レドリル「あるのにないの? なんだかさっぱりだ」
車掌　　「私にもさっぱりです。ハイ」

フォオオオオオオ……

メーテル「コンプレスが見えたわ」
レドリル「なんか黒い星だね」
車掌　　「黒いと言うかなんというか……」
レドリル「…??」

999号はそのまま星へ降りていく……
それまで黒い表面と思っていたものが，だんだんつぶつぶになってきた。

レドリル「あ，頭!? あれ，人の頭!?」
車掌　　「はい，そうです。頭です。人です。ハイ」
レドリル「じゃ，じゃぁ，あの星全体の黒いのが，もしかして人間の頭なの!?」
メーテル「そう。ここは人が多いの。人口がどのくらいかわからないくらい」

まさに地平線までもが人に埋もれていて，どこまでも人の頭が続いていた。
山も谷も，川などどこにあるのか，といった感じである。
999号はそのまま駅のほうへ向かい，駅の上空で停車した。

レドリル「あれ? 下には降りないの?」
車掌　　「降りられないから降りないのです」
レドリル「降りられない…?」

レドリルはそうっと窓から下を覗くと，そこには人に埋もれた駅があった。
駅だかどうかも一瞬わからなくなるようなくらい人に埋もれていた。

レドリル「これじゃ，確かに降りられない……」

停車時間5分。長いようで短く，短いようで長い。
レドリルにとってはそんな時間だった。
何もすることがないだけに，余計に長く感じたのだった。
そんなレドリルの目の前に何かを横切った。
正確には窓の外だが。

レドリル「ん? なんだ!?」

レドリルが窓を開け，顔を出すと……

メーテル「あ! レドリル，いけない!!」

窓から顔を出したレドリルの首に縄がかかり，そのまま列車から引きずり出されてしまった。
ひゅるるるるるるる………どて ぽき ぐしゃ!
大量の人の中に落ちてしまった。

人　　「いて〜」
人　　「なんじゃ」
人　　「しめ〜」
人　　「むぎゅ〜」
人　　「こら〜」
人　　「うが〜」
人　　「いていて〜」
人　　「乗るな〜」
人　　「邪魔だ〜」
人　　「降りろ〜」
人　　「のせろ〜」
人　　「しむ〜」
人　　「むぐ〜」
人　　「ぶち殺す〜」
人　　「メシ〜」
人　　「ぐぅ〜」
人　　「ぬは〜」

まさにそこは埋め尽くされた人の山，身動き一つ取れないようなところだった。
落ちたレドリルは，はじめは人の頭の上に落ちていたが，そのうち人の波に
飲み込まれて入り交じってしまい，999号からはレドリルがどこにいるのだか
わからなくなってしまったのだった。

車掌　　「えええ!? 落ちてしまったんですか!? た，大変だ!!」

もうすぐ停車時間の5分が過ぎる。過ぎてしまえば，999号は発車してしまう。

レドリル「な，なんだ〜，うわっ，う，動けない…」

ボォォォォォォォ!!

レドリル「え? あ，5分!! ちょっ，ま… あ!!」

フォォォォォォォォォォォォ…

999号はゆっくりと発車し，はるか上空へと上っていった。

レドリル「ちょっ，ちょっと待って… く，くそっ 身動き取れない…」

そして，レドリルの視界から999号は消えていってしまった。


発車時間に間に合わなかったものは

その星で一生を暮らさねばならない。

レドリルは乗り遅れてしまった。

現実が彼の目の前に重くのしかかる。






−次回予告−
999号は行ってしまった。身動き一つ出来ないこの星で
レドリルは一生を過ごさねばならないのだろうか……
次回，第016話は「超過密住国 その2」をお送りします。