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ツッコミ日記 Encylopedia


[事件] 2008/01/16 理科を支離滅裂に語ってみる [長年日記]

2009年02月28日 11:31更新

理科を支離滅裂に語ってみる

水に溶かすと食塩なくなる?理科実験苦手な小中生 文科省 - MSN産経ニュース

理科に限った話じゃないんですけど理科ってのは意外と難しい学問でして、よく暗記学問じゃんと言われますがそうでもない。もちろんテストなんかは暗記で突破できてしまうのでそう思われても仕方ないんですが、本質は「なぜ」にあります。最初に書きましたが、理科に限った話じゃないんですけれども。

この記事で取り上げられている「100gの水に20gの食塩を溶かしたら重さはどうなるか」に関しても、答えられたのは「溶けても食塩の重さは変わらない」などということを知っているからに過ぎないんじゃないかな。知らなければ、重さが変わらないことを直感的にわかる人は少ないのではないかと思う。

おそらく極端な例として取り上げたであろう「溶けたら食塩が無くなる」という誤答についても、誤答としては興味深い。たとえば、実験で実際に水に食塩を溶かして、はかりで重さを量れば重さが変わらないことを見た目で認識してもらえるはず。単に授業でそういうことを聞くよりは、遥かに理解度は増すと思う。そういうことは普通に行われているとは思いますが、おそらくそれでも「なぜ重さが変わらないのか」納得できない子もいるんじゃないかと思う。

少し視点を変えましょうか。

「100mlの水に20mlのエタノールを加えたら容量はどうなるか」

おそらく重さの時より正解の数はぐっと減るんじゃないかと思います。そうなることを知ってもらうなら、さきほど同様に実際に実験でやってしまえばいい。そうすれば目の前でその答えがわかるわけだ。でも、重さの時よりも「なぜそうなるのだろう?」と思う子は多いのではないかと思います。

なぜだろうと考える。仮説を思いつく。その仮説が正しいことを証明する。証明手段はいろいろあって、実験はその1つ。証明できて、別の人がそれが正しいと認めればそれが答えとなる。その答えは理論として構築されて定説として伝わっていく。学問なんて、そんなもんです。で、さっきの容量の問題ですが、120mlにはなりません。それより少なくなります。たぶんそれを知った時、子供たちの中には混乱する子供もいるんじゃないかと思うんですよね。重さは変わらない、でも容量は変わる。なんで? と。それを的確に説明して理解してもらうことは、おそらく小学生相手では無理だと思いますが、理科の難しさはまさにそこにある。事実は簡単。でも理屈が難しい。結果として、定説として伝わった事実がほとんどで、なぜの部分やそこから導かれた過程の部分はほとんど割愛されてしまってる。「暗記」せざるを得ないってわけだ。つまんないわな、そんなの。理科はまだいい。実験という手段を使って、理解の補助ができるから。歴史なんてかわいそうなもんですよ。

ちなみに、さっきのは水とエタノールだから減るんですけど、違うものを足せば増えることもあります。そういうのさらに混乱しますな。最初の重さのところ、「溶けたら食塩が無くなる」って誤答も案外笑えないもんですよ。容量の話だって、別に本質としては中身が減ったり増えたりしてるわけじゃないんですけどね。

笑えないといえば、キン肉マンあたりも面白いかもしれませんね。

ロビンマスクが鎧をつけているから「重いほうが速く落ちる」と必殺技ロビンマスクを決めてたことについて、これを笑う人もいると思いますが、そもそも重さに関係なく同時に落ちるのは真空中であって、空気中では空気抵抗などの力が働くから必ずしも同時ではない。同じ形をしているなら、重いほうが速く落ちるわけですが、キン肉マンの場合は超人同士の体格が違いますから単純に重いからといって先に落ちるわけでもないし、仮に落ちるとしてもあれほどの差がでるほどのものでもない。そのあたりはマンガ的誇張ということでスルーするとして、まぁ、ロビンマスクの発言自体は「100%正しいとはいえないが、あながち間違いではない」わけです。そういったことを考えた上で、ゆで理論(笑)と笑うのは別にいいと思いますが、単純に真空中での物体落下挙動のみを考慮してあれを笑うのはどうかなぁと思います。

最後に投げっぱなしで終わりましょうか。

中学校あたりの化学で、原子のまわりを電子がまわってるってんで太陽系の惑星みたいな感じの絵が今でも描いてあるのかな。あれ、ウソだから。

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