電気通信大学創立90周年記念
特別講演「ファンタジーは夢につながる −夢は時間を支えている−」

13時45分ごろ、松本先生正門到着。
13個47分ごろ、講演会開始。
まず、偉い人の挨拶。

13時50分ごろ、松本先生登場。今日はいつもと違ってなにやら荷物を持っている。
司会による松本先生のプロフィールとして、いままでに取った賞や、出世作である男おいどんの話（完全創作ではなくモデルがある、など）を紹介。
以下、松本先生が話した内容の一部をメモったものを文章に起こしたものです。一部なので前後がつながらないものもあります。また、語尾や話し方などは話した時のものと違いますのでご了承ください。

また、（）内に補足を入れておきます。

• 遅れて申し訳ありません。練馬からタクシーで移動したのですが、道がごちゃごちゃしてまして……。


• 本郷3丁目で下宿をしておりまして、その前は小倉に住んでおりました。当時は（…と、当時の自分たちの姿格好や態度などを説明）、われわれの世代はバンカラの最後の世代でした。


• 父はパイロットでしたが戦後は乗る飛行機が無く、極貧の生活でした。家が自然崩壊するようなところで住んでいたんです。みなさん、家が自然崩壊するの見たことありますか？　ガラガラガラと音を立てて崩れていくんですよ。（ここで客笑い）


• （おいどんの話）
  1ヶ月、2ヶ月と風呂に入らないのが当たり前でしたから、インキンタムシになり放題でした。あれは接触感染しますから、みんなにうつるんです。顔にまで出来たやつもいましてね。ある日、新聞にインキンタムシのことが書いてありまして、白癬菌だ、という論文があったんです。専門用語なら恥ずかしくない、と、薬局で白癬菌の薬をくれ、と言ったら、おお、お前もタムシかと言われて薬を買ってきた。これを使ったら一発で治りまして、これ効くぞとみんなに勧めたら、みんなから喜ばれました。これだ！と思って、みんなが堂々とできるようマンガにしたら全国から感謝の手紙が来ました。


• アニメに目覚めたのは5歳の頃。ミッキーマウスやポパイのフィルムが家にありました。フィルムですから1コマ1コマがわかります。アニメの仕組みをよくわかってました。それで自分で絵を描いては映写機で写すんですが、しょせん子供のやることですからちゃんとは出ないんですけど、一瞬だけ動いて、それを喜んでました。


• （明石の頃の話）


• （石森氏との話）
  ラーメンを食うことになったんですけど、ドンブリが足りなくて、1つのドンブリで二方向からラーメンを食べたことがあります。


• （自称日本三大アニメマニア芋づる事件の話）


• （確か古いアニメの話をしていたと思うのですが、詳細失念）
  歴史を書き残す義務があると思って、今手がけています。


• （運命的な話として牧野富太郎氏、牧野日本植物図鑑の話。ちなみに先生の講演でよく出てくる牧野植物園については、実際に練馬にあるのは牧野記念庭園で、牧野植物園と名のついた施設は高知県にある。）
  蜜蜂の冒険などは植物がたくさんでてくるのですが、牧野植物図鑑を参考にして描きました。後年、大泉に家を建てて住んでおりますが、大泉に牧野植物園があって驚きました。しかもここには東映もあります。運命的なものを感じます。


• （東映の話）
  近くに東映の撮影所がありますから、以前なんかは「これから火柱が立ちますが、撮影です」と夜中に放送で言うんです。いまじゃ、到底そんなことできませんよ。それで眺めてると燃えさかる建物に役者が飛び込んでくのが見えるんです。そういうところですから、土手で岩下志麻さんとお会いしたり、駅前で左卜全さんと自転車でぶつかりそうになって、大丈夫ですかって言ったら、むこうも、お前こそ大丈夫か、と。他にも喫茶店に行ったら、あべ静江さんが撮影の衣装のままコーヒーを飲んでました。

（ここからプロジェクタを利用していろいろな写真を見せて解説）


• （アフリカ、サバンナの蟻塚の写真）


• （ライフル銃を手にマサイ族の家を見せてもらった時の写真）


• （ランドローバ後部の写真）


• （運転席に座る松本先生の写真。ライフル4丁も一緒に写っている。これはライオンなどに襲われた時の自己防衛のためで、昔だからできたことで現在はできないそうです）


• （マサイの女性の写真）
  きれいな女性がいたので写真を撮ろうと車をバックさせたら、その女性のダンナさんが、何をするんだ！とヤリを片手に構えて怒られたんです。実はかくかくしかじかと説明したら、向こうの人は美的感覚がこっちとは違うんですね、こんなのでよければどうぞどうぞ、と写真を撮らせてくれました。


• （マサイの家族との写真）


• （キリンの写真）


• （イノシシを倒した写真）


• （人工衛星その1、その2、メーテルと合成したもの。）
  今はこういうのを簡単に描けるんです。私は手書きからＣＧまでいろいろなものを見て、経験してきました。北九州の海を潜ったりした経験も、以前潮流に流されそうになった時に役立ちました。もし外に流されていたら、サメのエサになってました。


• 隕鉄を持って刀鍛冶のところへ行って、刀を作ってもらったことがあります。法律上は2/3は日本の鉄を混ぜないといけないので良いかと言われてＯＫしました。ところが、隕鉄と鉄はうまくまざらないんですね。溶けてると混ざってるように見えますが、固まると隕鉄が星を散りばめたようになるんです。そうして刀が出来て、「せいかんいんてつ」と銘をうってもらいました。
  （講演だと正確な漢字がわからないので、ひらがなで書きました。たぶん星○隕鉄、○は環のへんが手へんあたりじゃないか、と。ちなみに日本刀を所有するためには登録しなければならないのですが、おもに玉鋼を用いて作らなければならず、隕鉄だけで作れば当然登録許可はおりません。未登録のものを所有すれば銃刀法違反になりますから、玉鋼を混ぜてこちらを主にしてあげないといけないというわけです。)


• （手塚治虫直筆落書き）
  これはスケッチブックに手塚さんが描いたもので、18の時に手塚さんが北九州に来たとき、ヘルプを頼まれて、その時に雑談しながらスケッチブックに落書きしたもの。

（以上、写真終わり。）

• インドで「そこのヒゲ来い」と司令官のところに連れて行かれたことがあります。そこで少し話をしたら「なんだ、そういうことか」とビールを出してくれた。驚いたのが、ビールもカレーの味がするんですね（ここで客笑い）。いくらでも見ていけ、といろいろいじくりまわしました。


• 博物館などに行っても、バックヤードを見せてもらうんです。


• キリマンジャロを近くで見たくて、タンザニアに入り込んでしまったことがあります。そうしたら、小銃を突き付けられまして、話をしたらわかってもらえて、飲み物を互いに酌み交わしました。


• ピラニアを刺身で食ったことがあります。食べてから、淡水だからヤバいと思ったんですが、食っちまったもんは仕方ない、と。特に何もなかったのですが。


• ワニも串刺しで焼いたのをかじりついたことがあります。皮を持って帰ったら儲かるかなと思ったけど、生臭いので現地の人にあげたら、喜ばれました。


• 食料用に肉をとったが、実は赤ん坊がいて、まるで人間を殺したような気分になり気が滅入りました。こんないい肉をとったのに何を落ち込んでいるんだ、と現地の青年に聞かれたので、赤ん坊がいて人間を殺してしまったような気分だと言ったら、その青年も涙を浮かべて理解してくれたんです。帰りに桟橋でその青年が、あの赤ん坊は責任を持って育てる、名前をつけてくれ、と言うので、ちょうどちばてつやが一緒だったからこっそり「てつや」と名付けました。


• 思想、宗教、信条、民族感情は土足で踏み込んではいけない。たとえ冗談であっても、互いに気分が悪くなる。


• 電気通信大学なので電気の話もします。


• 夜に電気が5Vになっていたころ、変圧器を自作して100Vにしてました。


• 映写機で感電したことがある。手から手に抜けたからよかったが、縦に抜けてたら死んでました。


• 学校の授業で先生が、電気とはこういうものだ、と、コンセントを素手でつかませた。だんだんと電圧を上げていったのですが、先生が、この程度で手を離すようでは男じゃない、と言われて落とすわけにはいかない。結局、100Vで落としてしまった。


• 水にナトリウムを入れて、ビーカーを爆発させたことがあります。

15時24分、講演会はいったん終了宣言。
松本先生曰く、明日(9日)は会津へ行くらしい。なお9日は会津大学でパソコン甲子園が行われた。
ここで質問タイムとなりました。

【Ｑ１】手塚治虫さんのイタズラでチョコレートうどんを食べたそうですが、手塚治虫さんから受けた面白いイタズラは何かありますか。
【Ａ１】

• 旅館に泊まるならうちに来い、と手塚さんに呼ばれて出されたのがチョコレートうどんでした。色が黒いからカレーうどんだと思ったら、チョコレートだったんですね。全部食いましたよ。手塚さんはどういう反応するか知りたかったんでしょうね、テーブルの下を見たら、テープが置いてありました。


• 手塚さんが北九州に来た時は、生ウニと握り飯が16個置いてあったんです。それを食ったら、鼻血は出るは眠れないはで大変でした。手塚さんのメモには、人体実験成功、と

。
• みんなで闇鍋もやりました。手塚さんがブタの足をかじるとか、高井研一郎がコンブひとまきつかんでしまって食ったのはいいんですが胃痙攣起こしてのたうちまわったり。そういった様子を8mmで撮ってました。私が撮ってたから私は映ってないないのですが、みんなの許可がおりたらぜひ公開したいですね(笑) （松本先生はこの日、一番楽しそうに話されてました。）


• もう1つエピソードを。石森、高井らとメシを食おうとしたのですが、器が無い。それで、近くの便器屋行って、新品の便器をもってきて、そこにカレーを盛って食ったことがあります。最初は良かったんだけど、だんだん気持ち悪くなった(笑)

【Ｑ２】銀河鉄道999は先生のどんな体験をもとに作られたのですか？
【Ａ２】

• 北九州からの列車。999の旅立ちは自分の旅立ちです。銀河鉄道の夜も好きですが、カンパネルラの旅立ちと自分の旅立ちは違うんですね。夜の列車は星空を走ってるようでした。資格も必要なく、切符ひとつで旅ができる宇宙列車があったらいいなぁ、ふと見ると絶世の美女がいる、そういうのをいつか描きたいなぁ……と。


• 999の旅は自分自身の旅。終わらせてしまうと、自分の人生も終わってしまうような気がして。遠く時の環の接する処まで旅が続きます。


• ヘチは高校の時の国語の先生。(999とは関係ないけどモデルの話になって出た言葉だったと記憶してます。ヘチが学校の先生がモデルというのは知ってましたが、細かい話が聞けたのでメモとして残しておきます。)

15時44分、質問タイム終了。
花束贈呈。

ここで松本先生が荷物からCDを取り出しまして、加藤登紀子さんの「いく時代かがありまして」を流しました。以前イベントでもこの歌をぜひ聞いてほしいと話していたことがあり、その時は、上京した頃の自分の境遇とよく似ている、とおっしゃってました。今回も曲が終わったあとに軽くコメントを話されました。以下はその一部です。

・この歌を聞くと、青春時代の方向性までわかるんです。あの時代に戻れる。赤い火は、本郷三丁目のうどんやの大きな提灯です。

15時52分、講演会完全終了。